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十年ほど前のことです。
岐阜の山あいを歩いていて、小鳥がたくさん鳴いている森に出会いました。

【小鳥の森にある、まるでジブリの風景のような、ぼくの最もお気に入りの場所】
一羽や二羽ではありません。あちこちで、いくつもの声が重なって聞こえてくる。立ち止まって、しばらく聞いていました。
それから何度も、その森へ足を運ぶようになりました。私はいつのまにか、そこを「小鳥の森」と呼んでいます。
小鳥たちの声は、ただ聞いているだけで心が満たされます。
春、小鳥たちはさえずります。さえずりというのは、恋人を探していたり、恋人と楽しい時間を過ごしているときの声なのだ、と聞いたことがあります。本当かどうかは分かりません。でも、そう思って聞いていると、いま何を話しているのだろうと想像して、うきうきしてきます。
美しい声を聴いていると、体が癒されて、頭の中のごみまで掃除されていくような感じさえしてきます。
【静寂な深い森の小鳥の声】
そのうち、この声を家でも聴きたくなりました。
けれど、これがなかなか大変でした。スマートフォンでは録れない音があること。録れても、普通のスピーカーでは鳴らせないこと。CD にも MP3 にも、入りきらない音があること。——ひとつずつ知っていくことになるのですが、その話はまた別の日に書きます。
いまでは、録音した回数は百回を超えました。
岐阜には山がたくさんあります。高山、郡上、関ヶ原。近くなら三田洞、松尾池。山あいへ出かけるときは、まず山に入って録音機を仕掛けてきます。翌日か翌々日に回収して帰る。どんな小鳥が録れていたかを聴くのが、その旅のいちばんの楽しみです。

【山道、録音機を仕掛けにいくところ】
その声を集めて、目覚ましのアプリを作りました。「小鳥の声めざまし」といいます。
朝、ほとんど聞こえない小ささから始まって、十五分かけて森がやってくる。最後に鶯が鳴きます。私自身が毎朝使っているものです。
これから、録音の日のことを少しずつ書いていきます。どの山で、どんな鳥に会ったか。うまくいかなかった日のことも。
岐阜の山あいから、羽賀明人

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